聖天さまの世界へようこそ

 悠久の時間が流れる京都東山。喧騒をはなれた安らぎの地・真葛ケ原に、千二百年の永き歴史を湛えた雙林寺はあります。その寺の奥深くには、計り知れない甚大なお力を秘めた神様が鎮まっています。

 

 その神様の名は、大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)。宇宙に満ち満ちているみほとけ・神様のなかでも、われわれの生きている現実世界の願いを叶えるエネルギーが一番強力なのはこの神様なのです。最高に頼りがいのあるこの方を、みんなは「聖天さま」とよんでいます。

 

 秘密の教えが咲き誇る聖域・聖天堂の中で、聖天さまはずっとあなたを待っています…。

 あなたが最高の人生を満喫することが聖天さまの願いです…。

 

※この「聖天堂」コンテンツは、聖天行者の饂飩屋さんプロデュースによるものです。

プロフィール

 聖天さまは昔は猛威を振るって、我が物顔に振舞う大魔王だったのです。人々を悩ます魔であるビナヤカの一族を率いて暴れまわっていました。そこへ大魔王に苦しむ人々を救うため、観音さまは容姿端麗な女と化身してあらわれます。一目惚れしたビナヤカの大魔王は彼女に結婚を申し込みます。彼女からのそこで示された結婚条件は、悪の心を捨てさることでした。

 以来、聖天さまは人々を強力にサポートする善神へと変わりました。観音さまの慈愛は聖天さまを救い、人々を救ったのです。

 

 深秘の説には、大宇宙そのものを仏とした大日如来は、金剛界(智慧)胎蔵界(慈悲)の二つの姿で表しますが、これを一つにした、究極に完成されたお姿こそ聖天さまの男女双身のお姿といいます。しかし、秘仏とされ、そのお姿を直接拝めるお寺はありません。

  • おなまえ・・・大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん) 一般には「聖天さま」とお呼びします。「お聖天さん」「尊天」と言う事も。ちなみに、インドの古い言葉・梵語(サンスクリット)では「ガナパティ」または「ガネーシャ」といいます。
  • おいたち・・・大自在天(シヴァ)様のご子息です。ご兄弟には走りが有名な韋駄天さまがおられます。皆様ともに仏教を信じる人々を守る、護法神となられました。
  • おすがた・・・体は普通ですが頭は象さんです。インド神話では、首を切られてしまったために象の頭を代わりにくっつけたといわれていますが、神々の中でも一番力が強いことを、一番力の強い動物の象で示しているのが実際のところでしょう。
  • おくさま・・・聖天様のお姿は、いつも奥様と睦まじくされている双身像(そうしんぞう)で表現します。奥様はなんと、十一面観音さまの化身です。
  • おすきなもの・・・大根・お酒・歓喜団(餡にお香や果物を混ぜ、米粉で包んで胡麻油で揚げた揚げ菓子。お団) 甘いもの
  • とくいわざ・・・どの神仏よりも強力な現世利益。無理をしてでも叶えるという力技!特に、災難消滅・開運・金運・夫婦円満・縁結び、がお得意です。
  • おすまい・・・インドの奥地、ヒマラヤの彼方にあるという鶏羅山(けいらせん)が聖天さまの国土です。日本では奈良の生駒山・東京の待乳山・四国の八栗や山崎・勝尾が有名ですが、京都は真葛ケ原・雙林寺にいらっしゃいます。

たくさんのお寺でお祀りされています。聖天さまを是非お参りしましょう!

ご利益

 宇宙の本体である大日如来は、あらゆる生き物を生み出し、生かす存在でありますが、あまりにも広大で漠然としているため、われわれ人間の感覚ではうかがい知る事ができません。 

 

 そこで、その大きな徳の一部分をとりあげて『ほとけ』と認識いたします。純粋な真理の中にいる存在を「如来」といい、悟りと凡人の中間の存在を「菩薩」と呼びます。お釈迦さま、阿弥陀さまは、如来ですから、悟りの内容を説いて真理へと導きます。観音さま、お地蔵さまは菩薩として、われわれの世界に救いをもたらしてくれるのです。

 

 しかし、人間がが生きていくうえでは、真理とは逆の方向になりうる願いが多いのが実情です。欲望は無いほうがよいのですが、生活していく上で、どうしても必要な欲もたくさんあります。

 

 われわれは、まず生きていかなければなりません。よりよい生活、よりよい人生を望むのは人間として当然ではないのでしょうか。こういうときは誰に頼ったらよいのでしょうか? 

 

 真理の側から救い導いていくのが『ほとけ』ですが、逆に常にわれわれの側にあってサポートしてくれる存在を『天』といいます。これはいわゆる「神さま」とよばれる方々です。欲望の存在するこの世界にいてくださるからこそ、現実生活を送る上での願いを受け止めてくれるのです。お釈迦さまはわれわれを導く偉大な先生ですが、聖天さまはちょうど貴方にとって血のつながった両親なのです。 

 したがって、生まれたときからあなたのことをよく知っておられますし、望んでいることもお見通しなのです。あなたが生きていく上での願い事なら何でも受け止めてくださいます。

 聖天さまの願いは貴方が充実した人生を送ることなのですから…。

ご利益をいただく方法

 兎にも角にも、心の底から聖天さまに願いをうちあけ、真心一つにお祈りすることが基本です。

 いつも聖天さまを念じていることも大切ですが、願いがあるときや、達成された感謝を申し上げるときは、聖天さまのもとにお参りいたしましょう。

 

 あなたの気持ちを聖天さまに伝えるには、御祈祷が強い後押しとなります。直接お参りできないときは、御祈祷を依頼するのがよい方法でしょう。御利益を受けるには、しっかりと受け止める構えがなければ受け止められません。御祈祷を依頼しても任せっきりにせず、心からの祈りを続けていることが必要です。

 

 聖天さまの御祈祷は「浴油供」という秘法で行われます。どうしても浴油供が依頼できない場合は、浴油の油代を御供えする「献油」や、お酒をお供えする「献酒」、お供物を上げていただく「献膳」という祈願方法もあります。

 

 願いが叶えば、御礼の御祈祷をお願いするなり、必ず感謝の気持ちを申し上げましょう。貴方の一生を守ることが聖天さまの願いです。

秘密のご祈祷法

 聖天さまの御祈祷は『浴油供(よくゆく)』という極めて特殊なものです。聖天さまのお姿を直接油で沐浴させていただくという、大変神秘的な方法で、想いを直接伝えることができます。

 

 この浴油供は秘法とされ、密教の中でも特に秘密とされている大変尊い御祈祷方法です。

 

 特別に造られた聖天さまの好物をたくさん御供えして、適温に暖められられた香油を浴びていただきます。秘密の経典に説かれた方法をそのままに、千年以上続く極めて荘厳な、利益絶大なこの秘法が実際に行われているのは日本全国でもごくわずかです。

 

 雙林寺では、浴油の御祈祷を月に2回、膨大な手間をかけて行っています。

聖天さまQ&A

Q1.聖天信仰は『七代の福を集めて一代で使い切る』ってホント?

 お母さんが毎日お弁当を作って、あなたに持たしているとしましょう。ある日、弁当箱の中を見ると、いつも入っているはずの玉子焼きがありません。玉子焼きが大好物のあなたはこう言って泣きます。

「ああ、大好物の玉子焼きを取られた!なんてひどい母ちゃんだ」

 大人になったあなたは、昔を思い出してその時をことを反省するでしょう。

 

 聖天さんを信仰して手に入れた福徳は、聖天さまが御自分の福徳を裂いて分けてくれたものです。したがって、あなたやあなたの一族からかき集めたものではありません。

 しかし、いつも与えられていると、だんだんと自分の所有物のように思えてくるのが人間です。あなたが聖天さまから離れていったり、代が替わって聖天さまとの縁がなくなれば、当然のことながら聖天さまからの贈り物も届かなくなります。なのに、あなたはこう叫ぶかもしれません。

 

「聖天さんに福徳を取られた!」

 

※世の中の噂:「うわさ」は、ほとんどが尾ひれが付いて大きくなったもので、ちょっとしたことや考え違いが元だったりするんですね。


Q2.『断ち物』をして拝むといいの?

 自分の好物や食べ物を絶つことを条件にして願掛けをする行為を『断ち物』といい、身を苦しめて祈る苦行的な願掛けが、昔からよく行われてきました。これは『良いこと』なのでしょうか?

 答えは「ノー」です。

 

 もしあなたの可愛い一人息子が、何日も食べ物を食べず、冷たい水をかぶったりして、あなたのほうを見ます。あなたはそれをみて喜べるでしょうか?多分、あなたはその行為は無駄であることをさとすはずです。

 聖天様はこころからあなたのことを思い、苦しみを減らしてよろこびをあたえてやろうといつも考えていらっしゃいます。なのに、あなたが自分を苦しめている姿を聖天さまに見せるとするならば、聖天さまの胸の内はいかばかりでありましょう。

 聖天様を悲しませるようなことは『良いこと』であるばずがありません。

 

  聖天さまが喜ぶこと。それは『善いこと』です。それは、いつも自分の行いを反省し、他人のことにも気を配り、自分を高めようと努力すること。シンプルだけど奥が深く、言うのは簡単だけど、実際やるのは難しい。

 なぜならば、この三つは、ほとけの教えを一言で言うとこうなるからです。このスローガンを七佛通戒偈(しちぶつつうかいげ)といいます。しかし、今からでもすぐに始められ、必ずプラスになること間違いありません!

 

 しかも、続けていけば「さとり」が得られて必ず「ほとけの境地」にあなたも昇ることができるのです。仏教を守る善神である聖天さまがあなたに望むことは、ほとけさまが説かれたこと・・・すなわち『善いこと』を実践すること(作善:さぜん)なのです。お釈迦さまも、苦行を放り捨て、正常な思考のもとで「さとり」を達成しました。聖天様の最終目的は、あなたが完成された人格=「さとり」に到達することで、それをサポートするのがお役目なんです。

 

 ちなみに修行者が滝に打たれたり、山を歩くのは『自然のエネルギーを吸収して心身を清める』ための一環であり、身を苦しめる「苦行的」目的ではないんです~。


Q3.聖天像をウチにも祀りたいんだけど?

 聖天さまのおすがた、いわゆる尊像はほとんどが金属製です。その理由は、おすがたを直接油で浴油することを目的としているからなんです。そういうわけで、浴油をしないのにお像をおまつりしてはいけません。

 私んちでお風呂をどうぞ」とお招きしながら、湯船に湯も張らず脱衣所にほっといたら失礼とだは思いませんか?しかも相手は王様よりエライ神様ですよ!絶対にやめましょう。

 どうしても聖天さまを像でおまつりしたいのならば、次の3つのうちどれかに該当するなら可能です。

  1. それなりに立派な聖天堂を建てて、聖天壇には密教法具も完備し、定期的に専門家(行者さん)を呼んで浴油供で拝んでもらう。
  2. 生活空間から切り離された秘密の部屋を作り、聖天壇を完備する。もちろん定期的に浴油は必要です。
  3. 聖天尊像を専門家のいるお寺に預け、拝んでもらう。

 どの方法もムチャクチャ金がかかります。豪商か貴族でないと無理かもしれません。ちなみに、宇治市のO聖天や西条市の某旅館は1番の理由ですし、京都の商家には2番目で、秘密聖天部屋があるところが現存するようです。(知っている方はご一報を!)

 

 聖天さんの御札をおまつりするか、お寺で浴油祈祷を依頼するのが経済的で簡単ですね。専門家に「梵字」の聖天さんを作ってもらう方法もあります。


Q4.いつもお参りしている聖天さまと、他の所の聖天さまは違う神様?

 東京で見る朝日と、大阪で見る夕日。これらは全く別のものでしょうか?

 

 もうおわかりですね。京都でこのホームページにアクセスしても、北海道からでも、おなじ雙林寺のページがご覧になれます。おためしあれ! 

 といった具合です。お寺におまつりさている聖天さまのお姿は、聖天さまにアクセスするための密教法具と思っていただいたほうがいいかもしれません。(実は、仏教は偶像崇拝では無いのです!)

 したがって、どのアクセスポイントからも、聖天様へアクセスは可能です。

 

  ただし、特別な場合ですが、パソコンと同じように設定が異なるということもあります。たとえば、収入や財産の増加を祈る「増益法」専門に開眼された聖天さまと、良縁や人気などの人間関係をよくするための「敬愛法」専用の聖天さまでは、御利益に違いが現れます。

 昔の豪商や貴族は、一つの願い事につき一体の像を建立し、専門家に祈祷をを依頼していました。金銀製の像もよく作られました。現在でもお寺によっては、施主別の尊像がずらりとならんでいるところもあるようです。


Q5.自宅での聖天さまのおまつりの方法を教えて!

 御祈祷の際に頂いた祈祷札や、分けていただいた御札を聖天さまの分身としておまつりしましょう。もしも神棚があれば、神様としておまつりください。 お仏壇はさけましょう。

 亡くなった方の御魂とは聖天様は同居できないのです。位牌がある仏壇とは別に、信仰する神仏を祭る場所があるならば一緒におまつりすることもできます。

 小さな厨子や神棚を作ってお祭りする方法がいちばん丁寧です。清潔で尊厳が保たれるところならば、タンスの上や本棚にご安置するのも可能です。場所が取りにくいときは、額縁や御札箱に入れて壁にかけるのもよい方法でしょう。最近では御札立てというものも販売されています。

 本来ならば、お花。お香。ろうそくの三具足を御供えし、水や御飯、お菓子や神酒・大根などの供物をささげるのですが、現在の住宅事情では難しく、毎日お供物を揃えるのは困難だと思われますので、とっておきの方法があります。 

 

 それは『華水供養:けすいくよう』です。

 

 その日いちばん最初に汲んだお水をお供えするのです。水は生きていく上で一番貴重な存在で、どの御供えよりも勝る物です。器は未使用の清浄なものならば何でもかまいません。気に入ったグラスやカップ、旅先で見つけたぐい飲みや抹茶茶碗など、あなたのとっておきの器でお供えして下さい。

 もしも大きな願いや、お礼のこころを伝えたいのならば、寅の刻(午前4時ごろ)に汲んだ水(井華水と呼ばれる)をささげましょう。水道水でも可能です。

 もし可能ならば、毎月一日などの縁日を決めて、お香やお花・お菓子や酒をご供養しましょう。

 また、御札を拝む対象とせず、お力を頂くためのアクセスポイントに限定するのなら、目線よりも高く、清潔なところに張っておきましょう。玄関に高くかがけて魔除けにすることもできます。(これを門札:かどふだ といいます)

さぁ、おまいりしましょう

 いかによい薬があっても、効能書きばかりよんでいても何にもなりません。実際に聖天さまのみこころにふれ、よい人生をおくる活力を頂戴してください。

 もしも忙しくてお参り出来ない時は、何時でもよいし、どんな所ででもよいので、ただ、合掌して一心に御真言(おんきりぎゃくうんそわか)を唱えればそれで事は足ります。要は、お祈りする人の気持ちが大事なのです。

 出来ることなら聖天さまの御縁日である1日と16日の2日間は都合して聖天堂にお参りしたいものです。

 お参りしている間は、雑念を起こさないようにしましょう。どうしても心が静まらない時は、自分の呼吸を1から10まで数えて又、1から10までと言う風に繰り返してください。

 どうぞ真心を込めて、歓喜に充ちた愉快な心で、真剣にお祈り下さい。

 

 聖天さまは貴方が生まれる前から、あなたをずっとお待ちかねです。

必ず守って頂きたい聖天信者の心得・・・・・十二条

  1. ほんとうの信仰とは、聖天様にひたすらお縋りして、一切をあげておまかせすることである。
  2. 信仰は、うまず、たゆまず、一生涯つづけることが肝要である。お札は自宅に祀ってもよいが、御尊像は祀らぬ方がよい。
  3. 身も心も清めて、お詣りしなくてはいけない。また、忌服の時や御婦人の汚れの間は、直接のお詣りは遠慮するほうがよい。
  4. お詣りは御利益を少しも疑わず、純真な心持ちで一心不乱にお祈りすること。
  5. お願いの叶わないときは、いまだその時期でないのか、誤った願い方をしていたか、または聖天様のお気持ちに反するような、お詣りの仕方をしていたからであるから、特に反省してみる必要がある。
  6. どんな無理なお願いをしてもよいし、その達成に努力精進することは言う迄もないが、あとの結果は聖天様の思し召しにおまかせするがよい。
  7. 熱心に信仰するほかに、自分の力の足りない所は、御祈祷を頼んで行者に、その心願成就をお祈りしてもらう方が早い。
  8. 信者の熱心と行者の法力と聖天様の妙智力との、三カ冥合の結果、心願が、成就するのだから、御祈祷を頼んでおけばよいと、安心していて、お詣りを怠けていてはいけない。
  9. 心願が叶い、御利益を頂けたら、聖天様へ感謝の念を忘れず、御加護を頂いた聖天様のお寺へはもちろん、広くは社会のため、少しでも奉仕の布施行を心がけないと、つづいて御加護は頂けない。
  10. いくら熱心でも、いつまでも「我欲」のみの信仰をしていては、聖天様の思し召しに添わないから、いつかは見離されて、大きな御利益は頂けない。よくよく心すべきである。
  11. お願いには、浴油供か華水供の御祈祷をお願い、また成就の暁、感謝のお礼には大般若経の転読か百味の御供養を、奉修してもらうがよい。勿論、浴油供でも差し支えない。
  12. 世間では「聖天様は恐い神様」だとか、「子孫の七代までの福を一代にとる」とか色々に言いふらされているが、何の根拠もない、迷信的な伝説故少しも気にしない方がよい。

(「聖天信仰の手引き」より転載)


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聖天さまの栞
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PDFファイル 1.5 MB

 A3サイズの用紙に印刷していただきますと、8ページの折本に仕上がります。携帯や配布していただき、信仰や布教にご活用下さい。

 

■折れ本の作成方法はこちらのサイトをご参照ください。■

  SS名刺メーカー『8P折り本ツール』で作った折本の折り方を解説


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(「BOOK」データベースより)

 

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